笈ヶ岳西尾根(清水谷経由)

笈ヶ岳は付近に車で行ける登山口が無く、また山頂付近が深い薮に覆われておりまともな登山道が無い。そのためこの山に登るためには残雪期に中宮温泉−冬瓜山(かもうりやま)・シリタカ山を経由するコースから登るのが普通である。北陸アルパインサービスのH場さんから笈ヶ岳に登ると聞いた時はてっきりこのコースと思ってました。ところが…

中宮温泉では無く中宮プレイランド(つまり中宮の集落)方面へ向かうと北陸電力の取水口へ続く林道に入ることができそのまま林道終点まで車で行ける。中宮発電所側から入るとゲートがあり林道へ入れないようだ。
5時に林道終点を出発。標高690m。
林道終点からは川沿いの絶壁を削った道が取水口までついている。北陸電力が管理しているそうだが雪解け直後ということで整備が追いついてないようだ。雪崩で道が崩落している所や橋の無い急流が行く手を阻んだりする。その度に周りを見回してルートを探したり、橋になるものを探したりロープを張ったりする。まさしく「リアルアドベンチャーゲーム」である。滅茶苦茶楽しい。といっても今回は上級プレーヤーを後ろで見ている人ですけど。
6時くらいには取水口に着く。

ここから中宮発電所まで送水路が設置されているらしい。
取水口のダムを渡って左岸から右岸へ。電力会社のお力もここまでで、ここから先はこの先の清水谷にあるわさび畑の作業小屋への道らしい。おまけに川沿いには大量の雪が残っておりピッケルを出して雪渓の上を歩く事に。今回アイゼンは持って来てません。

ここでもロープを使ったり道を探したりのアドベンチャーの連続でなんとか夏道に戻る。この先も急な場所が多く 絶壁トラバースも多く危険度は高くおまけに崩落している所も多い。しかしどんどん登ります。
せっかく登った地点から急に谷に降りると水晶谷を渡る地点だった。

この谷もすばらしい。橋が外されているが雪渓伝いに谷を渡ることができた。楽しい。
ここから対岸を登りきると清水谷という平坦なブナの原生林に出る。
足下には清水が流れ見渡す限りの原生林。こんな山奥にこんな世界あるのか。まさしく感動ものである。

平坦地を進むと対岸に小屋が見えた。ここに分岐があり笈ヶ岳西尾根の取り付きとなる。ここからが本当の笈ヶ岳登山なのである。
時間は9時。ここまで4時間掛かった。ここから頂上まで3時間の予定。
ここからは藪がひどい。1600m付近の殺生岩と呼ばれる岸壁を右にトラバースしロープが張られたガレ場を登る。ここも危険な場所だ。設置ロープは痛んでいて切れる場合もあるのであまり信用しない。登り詰めると目の前に笈ヶ岳山頂が見える。

しかし、ここからさらに藪がひどい。薮が谷側に生えているのですっごく歩きにくい。時折目に笹が入る。一方雪が残っている所は薮が雪の下なので楽ちんである。そりゃ普通は残雪期(G.W.)に登るわな。
左手に大笠山と千丈平が見える。

薮が切れたと思ったら頂上でした。感無量。12時。予定通り。

白山はまだ真っ白

帰りもほぼ同じ時間掛かるので昼食は30分。私はいつものラーメン。
頂上付近の下りは薮の向き順方向なので歩きやすく速く降りる事が出来たが、そこから下は危険な箇所が多く、疲れもあってほとんど登りと同じ時間がかかった。
後半はかなりバテた。取水口についた時は心底ホッとした。
林道終点の車に戻ったのは18時30分。なんとか暗くなる前に戻れた。
往復13時間半の長丁場であったがいろいろな体験ができて大満足な山行であった。
Hさんありがとうございました。いっぱい採れたうどは天ぷらでおいしく頂きました。