前穂北尾根

涸沢カールの南をふちどるようにそびえる前穂北尾根は、「日本一端正なスカイライン」と言い切ってさしつかえないだろう。頂上から八峰まで、三角形のピークを整然と並べた稜線は美しく、写真の被写体として、あるいは岩登り入門者の目標として、昔から多くの人に親しまれて来た。剱岳八ツ峰主稜、槍ヶ岳北鎌尾根とともに「日本三大岩稜」に数えられる。(山と渓谷社、アドバンス山岳ガイドより)
9月8,9日で北陸アルパインのH場さんに春山講習、岩山講習をご一緒させて頂いたO山さんと共に前穂北尾根に連れて行ってもらいました。私にとって初のバリエーションルートです。
写真は先日の穂高縦走の際、涸沢のコルから見た前穂北尾根です。高い方から主峰(頂上)、二峰、三峰、三・四のコルを挟んで四峰、四・五コルを挟んで富士山の下が五峰、雪渓が真下まで延びているのが五・六のコルです。今回ここにツェルトを張るそうだ。楽しみだわ。わくわく。

4時45分H場さんと合流して金沢出発。5時20分砺波でO山さんと合流して7時50分平湯あかんだな駐車場着。上高地行きのバスに乗り8時半上高地バスターミナル着。準備を整え9時上高地を出発!天気予報は今日の午後から明日にかけて雨ですが、外れる事を祈りましょう。

11時23分、横尾到着。ここでお昼にいたします。

屏風岩。ここが前穂北尾根の南端?に当たるわけだ。

14時43分涸沢ヒュッテに到着。ここが最終水場なので水をたっぷり補給します。他の登山客はテラスで生ビールおいしそう。
でも我慢我慢。なにしろ僕らこれからヴァ・リ・エ・ー・ションですから!(笑)

さて出発涸沢ヒュッテの裏口から向こう側の雪渓傍を登ります。

この辺りは踏み後もしっかりしておりまだヴァリエーション気分はそこそこ(笑)

稜線は見えどもなかなか着かない。山登りとはそんなもの。途中で雨が降って来たり晴れたり。明日大丈夫?(ぉぃぉぃ)

16時50分、五・六のコルに到着。他に人はいません。狭いけど1張か2張なら行けそう。はい張れました!

ツェルトのなかで持ち寄った酒とおつまみで大宴会。すいません。お酒忘れました。

夜は雷雨を心配してましたが、意外にもとても静かでした。夜中に目を覚ましたらツェルトの中はとても明るかった。もしかして月が出てる?と思いましたが眠くてシュラフから出るのが億劫で確認せぬまま夢の中…Zz
目を覚ましてみるとぉ〜♪穂高は旭に焼けていて、富士山も、奥穂高も、北穂高もモルゲンロートの中…奇跡だ…

天気予報は何だったのだろう…槍もくっきり。

5時22分、五峰に向けて登り始めます。細い稜線岩場を登るので緊張しますが一般ルートの難所と同程度?


6時丁度、無事五峰登頂。

四・五のコルまで降りてきました。続いて四峰に登ります。四峰の難しさはルートファインディングある(そうです)。浮き石が多く、一見しっかりしてるように見えて実はグラグラなんてザラです。崩落により安定コースは日々変わる事でしょう。その場で適切な判断が下せるリーダーの元で登る必要が有ります。我々はH場さんに任せるのみです。

干場さんが偵察し、行けると判断したらO山さん、私が続きます。行き詰まったらすぐに戻る覚悟が必要でしょう。

7時半、無事(私は何とか)四峰に登頂!O山さん怖いっす!

四・三コルに降り、いよいよ三峰に挑みます。ここまでロープは使わずに来ましたが、ここからはロープでビレイしながら行きます。エイト・ノット覚えてる?一般にはこの三峰が前穂北尾根の核心と言われています。確かに岩場の難易度はここが一番でした。

どうやって登るの!?って所も数カ所(O山さんは楽々登ってましたが)。それでもビレイされてる安心感で思い切って行けました。

何とかテンションかけずに登りきることができました。

二峰の頭は高度感たっぷりのリッジ登攀が楽しめます(要するに怖い)。

二峰からは懸垂下降で。先ずはO山さん!

続いて私。ちゃんと覚えてた。かな?

ここまでくれば前穂頂上は目の前。
10時丁度に前穂高岳主峰登頂!頂上にはツアーの山ガール(!)が沢山いらっしゃり、「変なとこから人が来た!」とビックリされました。「あそこから登ってきました。」と説明すると「凄ーい!一緒に写真撮とって!」とヒーロー気分ですよ。
凄くうれしかった。達成感半端ないです。

下りは紀美子平経由で重太郎新道を下ります。長いよ〜。急だよ〜。

12時52分、岳沢小屋で生ビールとハヤシライスで復活!ここから傾斜は緩くなりますが距離はまだまだ長いよ。

3時丁度、上高地へ戻ってきました。最終バスに間に合って良かったぁ〜!

初めてのバリエーション、ツェルト泊ドキドキワクワク。結果は晴天で無事登頂!
素晴らしい思い出です。皆さんありがとうございました。またお願いします!